2022年5月11日 祝日ってそんなに簡単に変えていいんだ

 モンゴル系集団の文化の重要な構成要素の一つに仏教があります。モンゴル国には、信仰度合いは人それぞれとはいえ多くのチベット仏教徒がおり、仏教の開祖・釈迦が悟りを開いた日=成道会が国民の祝日に指定されています。成道会は日本では12月8日ですが、モンゴルでは5月16日でした。数日前までは。

 5月9日のモンゴルのネットニュースを見ると、以下のように書かれていました(以下全訳)。

「祝日関連法で指定するように成道会(夏の初月の新月15日目)は国民の休日である。
 この日は西暦5月16日と6月14日の2つの日にちにあたる。しかし、ガンダンテクチェンリン寺院より『2022年の5、6月の2回夏の初月を迎えるが、占いにより成道会は6月14日になる』と発表された。
 そのため、今月ではなく来月14日(火)が休日となる。」

 モンゴルではチベット仏教の占い(zurkhai)が重要視されています。旧正月時は言わずもがな、普通の日でも寺院の占いコーナーはにぎわっており、人々の生活の重要な一要素であるとは感じていました。とはいえ、国民の祝日という国家レベルの法律で定める日も占いで簡単に変更されるのかと少し驚いています。日本的(?)な私の感覚では、太陰暦に則って行われる行事の日を、国民の祝日という太陽暦に則って運用されている近代国家システムに繰り込む場合、太陽暦のどこかの日に決めてしまうか、太陽暦の年初までには当該年の祝日を固定するのが良いのではと思ってしまいます。
 上記の記事のコメント欄を見る限りでは、モンゴル人もこの変更を、というより仏教という特定宗教の行事が国民の祝日として制定されており、寺院の決定により移動可能な現状を快くは思っていないようです。「宗教行事なのに国民の休日にするの?」、「宗教人だけで祝ってよ」というところでしょうか。

 今の職場はモンゴルの国民の休日に休業するのですが、この変更の影響を受けて5月16日は出勤日となってしまいました。そんな…。

 ちなみに、モンゴルの太陰暦による日付は新月1日、新月2日…という風に新月から数えて何日目かという数え方をします。月は数字ではなく、春の初月、春の中月、春の末月…といった表現をします。上記の記事に出ていた「夏の初月」は太陽暦でいうと大体5月にあたります。
 
 私はモンゴル暦にそこまで詳しくはないので、いつかこれについて調べてまとめた記事を書きたいと思います。
 

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