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2024年6月8日 TOMFL(モンゴル語能力試験)の概要

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  最近、仕事の一環で、モンゴルで初めて(?)作成されたモンゴル語の言語能力測定試験である「TOMFL」の受験希望者向けの資料を作成しました。折角なので、この日記ブログにもその内容を抜粋して紹介します。参考資料は記事下部に記載しました。受験をお考えの方の参考になれば幸いです。 ※あくまでも本記事更新時点での情報なので、最新情報は試験公式サイトや公式Facebookをご確認ください。 TOMFL公式Facebookのヘッダーより 目次 1. 試験概要 2. 試験申し込み方法 3. 試験対策本 1. 試験概要 (1)基本情報 正式名称 :Test of Mongolian as a Foreign Language 作成機関 :モンゴル国立大学モンゴル学研究所 受験対象者:諸外国のモンゴル語学習者 レベル設定:初級(M1・M2)、中級(M3・M4)、上級(M5・M6)の3段階6レベル 開催形態 :2024年6月25日の回はモンゴル会場での実地受験のみ。事務局に確認したところ、今後オンライン受験体制を整備予定とのこと。 試験日程 :公式サイトで案内 公式サイト: https://tomfl.mn/  (モンゴル語・英語対応) 公式Facebook: https://www.facebook.com/profile.php?id=61559688122587  (モンゴル語のみ) (2)各級の認定目安 初級 ・日常的な交流の場面において、特定のテーマで意見を述べ、単文を用いて交流を行うことができる。 ・モンゴル文化について一般知識を有する。 中級 ・日常生活、仕事、社会文化等の比較的詳細なテーマで意見を部分的に述べ、単文及び重文で会話ができる。 ・モンゴル文化について一定程度の知識を有する。 上級 ・教育、文化、科学、農業及び環境等の分野の特定のテーマで文法の慣用に則って会話する能力等の関連する各能力を有する。 (3)各級の出題分野、問題数、時間配分、配点 ※図はАлтантуяа нар(2023: 9)を基に筆者作成。 2. 試験申し込み方法 (1) 公式サイト にアクセス。 (2)サイト画面右上のБүртгүүлэх/Registerボタンを押して新規アカウントを作成。 ※1 (3)作成後、サイト画面右上のНэвтрэх/Log inボタンを押してログイン。ログイン後

20240417 【翻訳】ウランバートル副都心計画

 先日、モンゴルのネットニュースを眺めていたらこんな記事を見つけました。 Сэлбэ дэд төв дэх гэр хорооллын хөрөнгийн үнэлгээ үргэлжилж байна セルベ副都心におけるゲル地区の財産評価は継続中|gogo.mn (2024年4月16日)  お恥ずかしながら、ウランバートル市内の都市開発とインフラ整備状況については少し昔の知識しかなく、「セルベ副都心」なるものの存在を同記事で初めて知りました。  というわけで、今回は市内の副都心建設計画の公式サイトに記載されている「計画概要」を翻訳することで、現在の都市計画について勉強したいと思います。 🌼🌼🌼 翻訳元: Хөтөлбөрийн танилцуулга - Шинэ дэд төв: Улаанбаатар хотын гэр хорооллыг хөгжүүлэх хөрөнгө оруулалтыг дэмжих хөтөлбөр (計画概要 - 新サブセンター: ウランバートル市ゲル地区開発投資支援計画) --- 計画概要 プロジェクトのコンセプト  ウランバートル市マスタープランには、都市を平等に発展させる方針により6つの副都心を設立することが反映された。プランの基礎調査および基本方策を2009年から策定し、財政投融資総協議を2013年12月9日にモンゴル国家大会議にて決定した。  この社会・エンジニアインフラ事業を9年間3段階にて実施する。「ゲル地区開発投資支援計画」は、副都心を設立する基礎「インフラ」の諸事業を実施している。 エンジニア革命をゲル地区において展開する根拠 ウランバートル市人口の約60%はゲル地区に、生活に必要な第1段階のインフラがない状態で暮らしている。 災害レベルに達した大気汚染の80%は、ゲル地区の煙突の煙と脆く砂っぽい土壌に起因する。 世界で最も暖房の季節が長い首都の総人口の約60%は暖房設備を持たない。 都市計画が秩序立っていないため、社会需要を満たすインフラや建設物を建てる空間の不足が生じた。 10万強の穴掘り型トイレがあることで、ウランバートル市の土壌や地下水を感染性の菌で汚染する危険性が発生した。 ゲル地区居住者1名あたり1週間につき5~10リットルの飲料水が消費されているが、これはアパート居住者1名あたりの消費量

20240406 講演会の録画保存についてのメモ

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 現在、 ノタックモンゴル語教室主催の小長谷有紀先生特別講演会 のお手伝いに関わらせていただいています。主なお手伝い内容は、講演会録画の編集とアーカイブ配信以外に、会場セッティング、FBでの広報、参加者への連絡など雑多な作業になります。  今回は、講演の録画をアーカイブ用に加工するさいに考えている「どこまで編集で削除すべきか問題」について備忘録的に書き残します。 3月のアーカイブ編集にはAdobe Premiere elementsを使ってみたのですが、PCの動作が極端に遅くなってしまったので今はMicrosoftデフォルトの動画編集ソフトを使っています。個人的にはPower Directorが一番使いやすいです。 📹📹📹  現時点では、編集で削除するのは、機器の操作などでスタッフが手間取っている部分など講演の内容には直接関係しない部分としています。これは、動画の聞きやすさの観点から、削除しても問題がない(むしろ編集で消すのが推奨される)部分だろうと考えています。  ですが、削除する/しないの判断が難しい部分もあります。それは、「講演者が考えながら話しているために発生する時間」です。講演で話された内容自体の保存を重視すれば、「え~」とか「そうですね~」のような間投詞的なものは削除の対象となるでしょう。また、人気YouTuberの動画を見ると、動画のテンポの良さの観点から間投詞や間延びはカットされる傾向にあることが分かります。そういったYouTube的な動画の編集方法を真似するなら、「考えながら発話をする」瞬間は編集すべき対象になります。  しかし、講演アーカイブというものに最も求められるものは、動画をテンポよく見られることなのだろうか?と考えると、恐らく必ずしもそうとは限りません。アーカイブの意義がその講義自体を残すことにあるとすれば、例えば講演者が会場の様子を伺いながら「○○とは、要するに…………え~……××ということでしょうね」と発言したその時間や、講演者がPPTで示した資料を読み上げながら内容に感嘆する時間は、講演者の思考と会場参加者の体験の軌跡をたどるのに必要な要素かもしれ ません。 📹📹📹 2024年の小長谷先生特別講演会も残すところあと1回になりました。最終回は5月12日(日)に対面・オンラインのハイブリッド方式にて開催予定です。ご関心のある

20240404 モンゴルのオンライン医療情報サイト「edoctor」について

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 ここ数日、季節の変わり目だからか周囲で体調を崩す方が多いように感じます。私は会話やニュースなどで病名を耳にしたときにそのモンゴル語表現を調べる癖があるため、今回は周りの方の症状で検索をかけてみました。すると、「Цахим эмч(直訳:電子医師)」というサイトが検索の一番上に出てきました。リンクを踏んで見てみたところ、病名紹介だけでなくさまざまな情報を提供しているサイトのようでした。 edoctor公式サイト(モンゴル語)  今回の記事では、このオンライン医療情報サイトについて公式サイトから分かる範囲で紹介します。 1. edoctorとは?  このウェブサイトや提供されるサービスはモンゴルの大手オンライン保険会社「テンゲル保険」 *1 の出資により運営されています。何となく英語で検索をかけたら、海外産業人材育成協会サイト内に この会社の事業内容を日本語で説明したPPT を見つけました。  eDoctor公式Facebookのフォロワーはこのブログ執筆時点で4.8万人であり、モンゴルの人口(350万4741名、2024年3月13日時点)を考えるとそれなりに多くの人にフォローされているようです。  サイト内の「 Бидний тухай(about us) 」に記載の内容を下記に訳して引用します。 eDoctorはあなたの健康と安心の信頼できるパートナーです。 …(中略)… 過去には我が国において健康教育の方面で多くの事業が行われ、一定の成果が出ました。一方、健康関連の総合情報が十分に普及していないことと関連して、我々はこの課題解決を期待し、eDoctor.mnを充実させ、皆さんに広くお届けしています。 eDoctorは、モンゴル人の健康に実際的に貢献し、健康の知識・理解を推進し、生活の技能を高めることを目指した情報・コンテンツの総合ポータルウェブサイトです。このウェブサイトの目的は、個人の人びとの健康をどのように支援し、蓄え、守るかを学ぶガイドラインを浸透させることです。 我が国の国民がみな健康であることで、国が発展し、強化されると私たちは固く信じています。 eDoctorのメンバーは、保健分野の公的機関や医療専門家の協力を常に歓迎します。  この説明を読む限りでは、このウェブサイトの性格は「モンゴルでは一般人向けのきちんとした健康情報ポータルサイトがあまりなく、

2023年9月29日 帰国、モンゴル生活の振り返り

 9月22日、2年間のモンゴル駐在を終えて日本に帰ってきました。帰国後すぐに研究発表に参加したということもあり、今とても疲労を感じています。ただいま日本!  モンゴルでの生活は、人生で初めての連続で目まぐるしくもあり、やれることが制限されていたので歯がゆくもあり、新たな友人ができて行動範囲が広がりもした時間でした。私は自分の記憶力を信用していないので、数年後忘れてしまわないために形で軽くメモの形で残しておこうと思います。 ・常勤での仕事 …この駐在の主目的であり、滞在中もっとも時間と頭のウェイトを使ったことでした。正直に言えば、2年前に戻れるならこの仕事は選びません。しかし、これのお陰で得た知識・技能・人脈があり、有意義な経験となりました。総合的に考えると、この選択をしてよかった。この2年間は、確実に人生に何らかの影響を与えてくれるだろうと信じています。  お仕事で関わった皆さまには、このポンコツがご迷惑をおかけました。任期最後までお付き合いいただきありがとうございました。 ・長期の海外在住 …これまでは半年の滞在が最長でしたが、今回は2年間でした。2年となると、滞在と言うよりはそれなりに腰を落ちつけた「生活」をすることになります。しかも、留学とは異なり「仕事」です。自分の家を借り、快適に生活するために必要な物資をそろえ、決まった時間に寝て起きて、出勤して、帰ったらご飯を食べ、その他の時間はやるべきことをして、寝て…。これを2年間繰り返したら日本の院生生活を忘れかけてしまいました。2年目なんかは、この生活が一生続くのかと錯覚するくらいルーティーン化していました。  日本に本帰国した直後は、また数日後にはモンゴルの自分の家に戻らないといけないと身体が思っていそうな感覚がありました。以前、何かの書籍かウェブで読んだ文章に、アフリカの先住民が初めて自動車で移動して目的地に着いた時「魂が追い付いてくるのを待っている」といって呆然としていた、というものがあります。今の私はそんな感じです。帰国から一週間経った今、ようやく少しずつ日本に自分の頭と身体が追い付いています。 ・家族以外の人間との生活 …平たく言うと、こちらで素敵な方(邦人です)と出会い、数か月お付き合いした後に同棲をはじめました。相手がいる話なので詳しく書きませんが、同棲は生まれた時からずっといる家族との生活とはまた

2023年8月6日 D.ガルサンスフの詩集『半リアリスト詩』

  先日、本屋でD.ガルサンスフの最新詩集『Хагас Реалист Шүлэг』(半リアリスト詩)を購入しました。ちなみにモンゴルの本屋のオンラインストアでも購入できます( Internom 、 Azkhur )。  彼は90年代に出現した「モダニスト前線の戦士」として有名なモンゴル(ヤスタン 1 はブリヤート)の詩人です。ヘンティー県ダダル郡生まれで、10歳頃から現在に至るまでずっと詩作を続けています。彼の詩はその内容や表現の意味不明さから批判されることが多いですが、現代モンゴルにおける重要な文学者の一人であることは間違いないでしょう。  私が彼の詩に初めて出会ったのは、学部5回生の時に受講した阿比留先生のモンゴル文学の授業でした。彼の詩には、何となく全体に暗い心あるいは現代社会の闇、そして圧倒的な自意識が横たわっており(そうではない詩もあります)、今まで学んできた自然や伝統を賛美する他の詩人とは一線を画していました。とはいえ、彼は伝統や自然について語ることを拒否しているのではなく、実生活の中で感じたものを自分のことばで表現しているように(少なくとも私は)感じます。  さて、今回は題名と同名のタイトルをもつ詩を翻訳してみました。念のためモンゴル国の著作権法を確認したところ、同法第三十八条第1項内に「学術調査、研究、トレーニング、批評のためなら他人の著作物を利用していいよ」「個人的な使用の範囲内だったら他者の著作物を利用していいよ」と記載されていました。というわけですので、1編の詩の翻訳と収益化していない個人ブログでの公開は、上記の範囲内と考えられるので大丈夫でしょう。  下記の和訳は非常に拙く、モンゴル語の韻や面白さをうまく反映できていないところが反省点です。この詩は19世紀~20世紀の文学の潮流をある程度踏まえていないと意味が分かりづらいのですが、ガルサンスフがどういう人に憧れているのか、自分をどんな人だと捉えているのかを知るよいきっかけになる詩だと思いました。 「半リアリストの詩」 エクスプレッショニズムの道へ進んだことから様々に紡ぐトラークルのように インプレッショニズムで始まるのであれば快復しないヴァン・ゴッホのように ダダイストたちを追ったことから再び子どもになるツァラのように ディル・ブル・シュルといった無用なことばに引っかけさせる未来派主義者のよ

【カフェ紹介】ウランバートル市内のおしゃれカフェ全制覇を目指してみた(随時更新)

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 この記事では、私が実際に行って良かったウランバートル市内のカフェをご紹介します。都市的娯楽が少ないウランバートルですが、2010年代後半以降おしゃれカフェが激増しているようで、私の数少ない娯楽のひとつになっています。  紹介する店の選定基準は筆者の趣味によるもの(20代後半女性、インドア、作業目的)ですが、これを見た方がウランバートル駐在・留学・旅行中に立ちよるお店を選ぶ際の参考となれば幸いです。  紹介順は以下の通りです。 1.市内中心部北側(Ikh toiruu外環状線~Enkh taivan平和通りの内部)  Cafe Camino  Coffart Coffee&Cafe  LAVAZZA  The Grey Café  Ulaanbaatar coffee culture 2.市内中心部南側(Enkh taivan平和通り~Narny zam太陽通り・Ikh Khureeイフ・フレー通りの内部)  Jack's Coffee Orchlon Complex【更新】  Limburg waffle  The Coffee Bean & Tea Leaf  UBean Coffee House & Roasterie 3.ザイサン地区 4.その他 (2023年7月23日現在 8店舗紹介) 【注意】 ・すべての情報は筆者が来店した2021年~2023年の間のものです。実際に行く前にInstagramやFB等で営業しているか確認することを推奨します。 ・Cafe BeneやTOM N TOMS等の外資系大規模チェーン店は今回取り上げていません。店舗数の少ないチェーン店はいくつか紹介しています。 1.市内中心部北側(Ikh toiruu外環状線~Enkh taivan平和通りの内部) Cafe Camino ・公式サイト  Facebook ・場所 Baruun Selbe通りから1本住宅地側に入ったところ ・営業時間 月~土 8:00~21:00(日曜定休) ・メニュー  ・客層 20~30代の若者中心 1~4人でPC作業する人多し。 ・ Wi-Fi 2mbpsくらい ・店内写真 ・コメント  コールドブリューのアメリカンが提供されるのが個人的なお気にいりポイント。ドリンクを頼むと自家製クッキー2枚もサービスで付いてくる。バニラチ