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2022年12月31日 今年の振り返り

 早いもので、2022年も本日で終わりです。年を重ねるにつれ、一年が過ぎるのが早くなっているように感じます。今回の記事では2022年の振り返りをし、来年の目標について語ろうと思います。 【全体の振り返り】  あらゆる面において、エネルギー不足感、目が覚めていない感、そして不完全燃焼感がありました。そして、手を付けたあらゆる物事が中途半端にしてしまいました。  エネルギー不足感の原因は、体力面では運動量の減少で体力が落ちたこと、精神面では意識の大部分を仕事に向けたためそれ以外の活動に割り振る精神的エネルギーがなかったことだと思います。物事を中途半端にしてしまうことは以前からたまに顔を見せていた私の悪癖ですが、エネルギー不足がこれを加速させてしまった気がします。  目が覚めていない感は、具体的に表現するのは難しいのですが、エネルギー不足感とも関連していると思いますが、頭にずっと靄がかかった状態のような、一つの事象についてじっくりと深く考える力が弱くなっているような感じのことです。この状態になってしまった理由は、エネルギー不足感の原因と関連しているでしょう。エネルギー不足という状態が目が覚めていない感を誘発しているという面もあるかもしれません。  そして、エネルギー不足感と目が覚めていない感によって思うように身体と頭が働かなくなったことで、あらゆる活動の良や質が下がり、常に不完全燃焼感を感じるようになりました。  簡潔に言うと、「運動不足と老化による体力低下+仕事による精神力消耗→活動量の低下→活動の質の低下」という状態が通年で発生していました。  この状態は修論執筆を控えた院生的にまずかったことは言うまでもありません。退勤後に研究をする元気をなくしてしまったことで、在籍中の院生と比較すると圧倒的に読みこんだ文献量と人と議論した回数が少なくなり、それに伴いアカデミックな思考力も鈍ってしまったという感覚があります。  全体的な評価はこんな感じですが、生活の各方面では良いこともたくさんありました。以下では方面別に所感を書き出していきます。 【研究面】 ・反省点:(既に述べましたが)読み込んだ文献量が少ないこと、そしてじっくり考える方向での思考力が落ちたことです。両者とも身体的・精神的エネルギーの不足が招いた事態でした。学会ももっと積極的に参加すればよかったです。 ・良かったこ

モンゴルの「クリスマス」について

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 12月のウランバートルで町中を見わたすと、イルミネーションを巻き付けたモミの木、トナカイの耳を付けた若い女の子、赤いサンタクロースの服を着たデパートの店員、赤と緑を基調にした装飾がよく目に入ります。こうして表面だけ見ると、モンゴルは西欧のキリスト教の祭典であるクリスマスを日本のように冬のイベントとして受容したのかと思われます。その感想は完璧にまちがいという訳ではありません。  しかし、モンゴルの「クリスマス」は日本のような商業的性格を強く帯びたイベントではなく(今のところ)、かといって大部分は非キリスト教徒のためヨーロッパのようにキリストの生誕は祝いません。では、モンゴルの「クリスマス」は何をする行事なのでしょうか。    今日の日記では、現代モンゴルの「クリスマス」がどんな性格をもった行事として立ち現れているのか、当地のウェブニュース記事、当地キリスト教系団体のHP、そして自身の観察に基づいて考えたいと思います。 スフバータル広場にあったツリー。2022年12月。 1.源流はロシアのクリスマス  一般的に語られるモンゴルの「クリスマス」的イベント(モンゴル語ではшинэ жилシンジル、新年の意)は、ヨールク(ロシア語のヨールカのモンゴル語訛り)と呼ばれるデコレーションされたモミの木を飾り、子どもは「冬のおじいさん」と「冬のむすめ」にプレゼントと祝詞をもらい、みんなで踊りあり・出し物ありの新年を迎えるパーティー、及びそれらを行う12月~1月までの期間のことを指します。この新年を迎える祭りのことを「ヨールク」と呼びます。本記事ではモミの木のヨールクと祭りのヨールクを区別するために、後者を「ヨールク祭り」または「シンジル」と呼ぶこととします。  モンゴルのヨールク祭りの原型行事は、ロシア帝国で生まれ、ソ連で元の型ができました。1700年、近代化(=西洋化)を推進したロシア皇帝ピョートル1世の命で、元旦がユリウス暦1月1日に定められ、この新しい元日に合わせて新年が祝われるようになりました。  また、この時ピョートル1世はドイツからクリスマスツリーもロシアに持ち込みました。このツリーはクリスマスのための特別な装飾品であり、新年祝い用ではありませんでした。ちなみに、ヨーロッパとロシアのクリスマスの日付のズレは各教会が採用する暦法の違いに由来するもので、祝いの内容(イエス・

2022年12月11日 犬ぞり@テレルジ国立公園(前編)

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  日本からモンゴルへ大学の先輩が弾丸旅行に来てくれました。何かのツアーに申し込んでいるというわけではなく、本当に単身での旅行のようだったので、私の知り合いの日本語ができる元運転手のおじいさん(以下Tさん)に、今回の旅の運転手兼ガイドをお願いしました。  先輩は土曜日にウランバートル観光、日曜日に犬ぞり体験というプランで来ていたので、私は日曜日の犬ぞりにお邪魔させていただきました(本当はウランバートル観光にも付いていきたかったけどコロナ感染で自宅隔離中だったので無理だった)。犬ぞりは今年2月に私が乗ったことのあるサービスが一番人気とのことで、そこに行くことにしました。 ▼今回行った犬ぞりサービス  今回利用した「Монгол морь, Нохой чарга」(モンゴル馬と犬ぞり)というサービスは、公式FBの紹介文によると、モンゴルで最初に犬ぞりツアーを始めたところで創業8年目とのこと。"New way of winter tourism"という文からは、最近までモンゴルは犬ぞりを観光資源として見出しておらず、犬ぞりはモンゴルの観光としては新しいかたちのサービスであることが窺えます。  今回の日記は長くなってしまったので、前後編でお送りします。 往路  9時半より少し前に先輩の宿泊するホテルに集合して、犬ぞりをやっているテレルジ国立公園へ出発。Tさんの車は娘さんから借りたアメリカ製のごついヤツで、草原へ旅行に出る雰囲気の演出にぴったりでした。この日は曇りで、空は雲で、地面は雪で、視界に白がいっぱいでした。  犬ぞりに行くまでの道中では、先輩からはウランバートル観光の話や、私が既に疑問には思わなくなってしまったモンゴルの自然や町のあれこれの話を楽しく聞いて過ごしました。「モンゴルは山にあまり木が生えていない」という感想には、確かに!と新鮮な驚き。先輩の感想に対するTさんの「木が生えないのは北側。南側やてっぺんの近くは陽が当たるから木が生えるよ」というコメントにも、そういえば!と思いました。ちなみにこれは丘と言えるような低めの山に当てはまることで、アルタイ山脈などの高い山はきちんと頂上の方が剥げています。  先輩の新鮮な目から見たモンゴルの様子を聞きながら、私は最近家と職場の往復だけで町も自然も見れていないので、もっと外に出て周りを見る生活をしよう

20221208-10 新型コロナウイルス初感染

 私は今まで数々の変異株の感染をも切り抜けてきましたが、新型コロナウイルス流行が始まって2年が経とうとしている12月中旬、遂にコロナに感染してしまいました。今モンゴルではやっている変異株はオミクロンなので、恐らく私もそれにかかったんだと思います。  最初は単に身体を冷やしてしまったことで熱が出ただけと思っていました。というのも、熱や頭痛等の症状が出始める前日に、外を歩いたり広場のデモを見に行ったりと比較的長時間外出していたからです。しかし、次の日になっても症状が治まらず、その次の日の朝起きた時には喉が腫れていたことから怪しいと思い、検査を受けに行きました(まさかこんなところで自分の 過去記事 が役に立つとは。)。  予め近所の検査所に電話して検査に行くよと伝え、朝9時過ぎ頃に行くと、検査係の若いお姉さんがスタンバイして待っていてくれました。検査結果の出る時間は、PCRだと今日の夕方、抗原だと10分後だというので抗原検査を受けることに。鼻をぐりぐりした棒を検査キットに入れるや否や、赤いインクがじわっとキットの窓に広がったのを見て、検査係の方は「これは陽性かもしれませんね~。もし結果が陽性だったら、職場の人に伝えてください」と言いました。  帰宅し、スマホのSMSに来た検査結果メッセージを見ると、案の定「EYEREG」(陽性)の文字が。念のため、そのメッセ―ジに付いている保健省の検査結果URLにアクセスして診断書を見てもやはり赤字で「ЭЕРЭГ」の文字が。ここにきて初感染か~と、勝負に負けた気持ちになりました。何の勝負?  症状はつらいとはいえだいぶ軽症の方で、こんな感じの変遷をたどりました。 1日目 鼻水、若干のだるさ 2日目 鼻水、鼻づまり、くしゃみ、だるさ、熱 3日目 鼻水、鼻づまり、くしゃみ、だるさ、熱、頭痛、腫れをともなう咽頭痛(陽性発覚) 4日目 鼻水、だるさ、軽い頭痛、咽頭痛 5日目 鼻水、違和感程度の咽頭痛  1~3日目はなるべく動きたくないタイプの体調の悪さがありましたが、陽性発覚後はずっと布団で寝て、たまに起きてご飯食べて水分飲んで、という食っちゃ寝生活をしていたら徐々に回復しました。食べ物等必要なものを差し入れてくださったりご飯を作ってくれた皆さま、ありがとうございました。  この自宅待機期間は基本的にやることが (あるけど) なかったので、保健省

12月5日 スフバータル広場での反与党デモ2日目(ニュース記事要約)

石炭輸出金着服等国会議員への不満が噴出した反与党デモは本日も続いています。むしろ昨日よりデモ参加人数は増え、警察の制止を振り切り、国会議事堂前の階段にデモ参加者が昇って「(汚職議員)出てこい!出てこい!」とコールをしたり、発煙筒をたいたり、モミの木を燃やす人がでたり(これはモンゴル人インターネット内でも非難殺到だった)、議事堂のドアを壊したり、警察に怪我を負わせる暴動にまで発展しています。 昼過ぎに広場近くを通ると、市内を東西に突っ切る大通りは一部通行規制され、いつも以上の大渋滞が発生していました。車で1km移動するのに1時間は余裕でかかりそうでした。 というわけで、今日もこのデモ(暴動)に関する記事を翻訳しました。 しかし、法律用語や行政用語に詳しくないせいで酷い訳になったので、要点のみを抜き出し以下に示します。 モンゴル語できるぜな方は以下から元記事をどうぞ。 П.Ганзориг: Төв талбайн жагсаалыг албадан тараах Нийслэлийн Засаг Даргын захирамж гарлаа(Ikon.mn) (法務内務省行政事務局長P.ガンゾリグ「スフバータル広場のデモを強制解散させる市長令を発令」) ★このニュースの要点★ 法務内務省の行政事務局長による公式発表 ・デモに乗じて犯罪行為をする人がいます(例:広場のモミの木を燃やす)。 ・国家の建物に侵入し破壊行為を行う人も出ています。 ・デモ側にも警官側にも怪我人が出ています。 ・破壊行為と平和を乱す行為はやめてください。 ・デモが暴徒化しているので、本日19時に強制解散令を市から発出しました。21時過ぎにはデモを強制解散させます。

12月4日 スフバータル広場でのモンゴル人民党解散要求デモ(ニュース翻訳)

本日午後スフバータル広場を歩いていると、デモに遭遇しました。 -21℃の寒気の中、モンゴル人民党の解散をもとめるデモが現在スフバータル広場でおこなわれています pic.twitter.com/mNfhjnDTAB — シベリアペンギン (@siberia_penguin) December 4, 2022 デモ参加者のプラカード(プラスチックじゃなくて段ボールとか厚紙だったけど)を見ると、「モンゴル人民党やめろ」「モンゴル人民党解散しろ」という言葉が躍っていました。近年、国会議員の汚職に対する不満が高まっており、ここにきて与党解散デモが発生したようです。 今回はこのデモに関する記事を翻訳しました。1個目の記事は写真がいっぱい載っているので、元記事の方もぜひ見てみてください。 ------------------------- 元記事: ФОТО: Нүүрсний хулгайчдад хариуцлага тооцож, нэрсийг нь ил тод болгохыг иргэд шаардав  ikon.mn 写真:国民は石炭泥棒への責任追及と名前の公表を要求 P.Sainjargal, ikon.mn 5時間6分前(註:閲覧時) スフバータル広場において、市民デモが行われている。 モンゴル国憲法において規定された国民の権利や自由は失われ、国民生活は日に日に疲弊しているとデモ参加者は口をそろえて発言していた。  彼らは「石炭泥棒をはっきりさせろ」、「我々は76人を贅沢させるために税金を払っているわけではない」、「私は自分自身のためにではなく次世代のために」、「税金で国民の首を絞めている」、「税金で何をしたんだ」、「母国を愛していないのならなぜ国民なんだ?」と書かれたプラカードを掲げた。 市民代表が言うには、「モンゴル国が直面している問題はみんな知っている。モンゴル国の将来の独立や安全等の全ての課題を今日は取り上げている。ここで対立するのではなく、解決を求めて国民は集まった。将来のモンゴル国に発展する可能性は全くない。私たちの子どもにも明るい未来が見えていない。だから子どもの未来のために声を上げるためにデモに参加した。 モンゴル国は人を成長させるのではなく、モンゴル人を搾取する社会になっている。しかしながら、私たちは我慢の限界を見せることができた。モンゴ

12月1日 今年も残りあと1か月

もう2022年もあとわずかとなりました。年々、1年の長さが短くなっているように感じます。これが老いというやつなのでしょうか。 今日は特筆すべきことはしていないのですが、もう少しこの日記ブログを日記らしく使おうと思い、久しぶりにとりとめもないことを書き綴ろうと思います。 ・読書  職場に希望して入れてもらった書籍『ロシア社会の体制転換:階層構造の変化に着目して』の序章を読みました。私は人類学専攻なので、本書の経済的視点からの階層構造変化の研究は新しい視点でした。ソビエト人間プログラムに着目して分析するというのは非常に面白そうなので、そのパート(3章)だけ先に読もうかな。 ・奨学金猶予願  今日ふと自分の日本の口座を見ると、想像以上になくなっていました。そして「ニホンガクセイシエンキコウ」の文字が。冷や汗をかいて過去の母とのLINEのやりとりを見るとそこには「奨学金返還してね~」との文字が。私はまだ学生なので払わなくていいのですが、休学のため延長した在学期間分の猶予申請を怠っており、そのため自動的に返済が始まっていたようです。  大慌てで奨学金サイトから猶予願を提出しました。これからはお金周りにもっと敏感になろうと思います。

2022年11月30日 ロシア国籍避難者の現状(ニュース翻訳)

早いもので、もう11月も終わりです。ロシア軍がウクライナに侵攻を始めてから9ヶ月が経とうとしています。 さて、今日は部分的動員等の影響でロシアからモンゴルに避難したロシア国籍の人の現状に関するニュースを見つけました。拙い日本語ですが翻訳しましたので興味あればご覧ください。 翻訳元は、モンゴルの大手ネットニュースサイト「ikon.mn」掲載の記事です。モンゴルのネットニュースを見る際は、新聞社の運営するニュースサイトの他、ikon.mnやgogo等の記事は信頼性が高くおすすめです。それ以外の中小ウェブニュースはこういった大手サイトに掲載された記事をコピペしている場合が多いです。それでいいのか報道人。 元記事: "Оршин суух зөвшөөрөл авч буй гадаадын иргэд дундаас ХДХВ-ийн эерэг тохиолдлууд илэрснийг ХӨСҮТ шинжилж байгаа" 「国立感染症センターの調査によると、在留許可を有する外国人の間でHIV陽性患者が発生」 P.Sainjargal, ikon.mn 2022年11月28日 性感染症及びHIV/AIDSに関する第8回国家会議がトゥーシンホテルにおいて本日開催されている。 その際、 D.アリオンボルド 国家安全保障協議会長・旅団 *1 長は次の質問を行った。 ロシア・ウクライナ戦争のために我が国を訪れる外国人の数は増加している。これと関連して、外国人に性感染症検査を受検させる方針の計画の有無について彼は質問した。 「ロシア連邦イルクーツク市内のブリヤート人の性感染症の感染拡大が多く報告されている」 J.ダヴァールハム 国立感染症センターHIV調査研究部長 は「これは非常に喫緊の課題だ。ロシア連邦ではHIV感染症及びAIDSの罹患数が多い。その内、薬物常用者の間で感染拡大が多く発生している。最近の調査によると、危険なグループ以外に全人口や若者の間でこの種の病気が流行しているという報告がある。ロシア連邦イルクーツク市、その中でもブリヤート人に性感染症やHIV/AIDSへの感染が多く報告されているとの報告がある。」と述べた。 我々は法律の範囲内で活動を行っている。モンゴル国の法律では、性感染症罹患者が我が国へ入国するのに全く障壁はない。また、入国時